建設業許可手続きの全体像
1. 建設業許可とは
こんにちは!今回は「建設業許可」について、詳しくお話ししますね。建設業を営むためには、この「建設業許可」を取得する必要があります。なぜなら、建設業において大規模な工事を請け負う場合、この許可がないと法律に抵触してしまうからです。つまり、この許可を持たないままでは、一定規模以上の工事を受注することができません。
しかし、すべての建設工事において許可が必要というわけではありません。例えば、比較的小規模な工事や、特定の条件を満たす工事の場合、許可がなくても工事を行うことができるケースもあります。このように、建設業許可が必要な場合とそうでない場合を理解しておくことは、建設業を営む上で非常に重要です。
2. 大臣許可と知事許可の違い
建設業許可には、「大臣許可」と「知事許可」の2種類が存在します。では、この二つはどう違うのでしょうか?それは、営業所の置き方による違いに基づいています。
例えば、営業所が一つの都道府県内にのみ存在する場合、つまり事業活動がその都道府県内に限定されている場合は「知事許可」を取得することになります。一方、営業所が複数の都道府県にまたがって存在する場合、つまり事業活動が広域にわたる場合は「大臣許可」が必要になります。
ここでポイントとなるのは、許可の種類が異なっても、営業地域に制限はないということです。つまり、知事許可を取得しても、その許可に基づいて他の都道府県での工事を請け負うことは可能です。ですから、どの許可を取得するかは、営業所の配置に応じて決定することになります。
また、もう一つ注意が必要なのは、工事現場の所在地や資材置き場の場所は、許可の種類に影響しないという点です。あくまで、営業所の配置が基準となります。この違いを理解しておくことで、どの許可を取得するべきかが明確になります。
3. 建設業許可を受けなくてよいケース
では、どのような場合に建設業許可が不要なのでしょうか?建設業許可が不要なケースとして、以下のような例が挙げられます。
- 1件の請負代金が1500万円未満の工事:これに該当する場合は、建設業許可が不要です。これは、比較的小規模な工事とみなされるためです。
- 木造住宅で延面積が150㎡未満の工事:この場合も、建設業許可を取得する必要はありません。これは、一般的な住宅規模と見なされ、リスクが低いと判断されるからです。
- 1件の請負代金が500万円未満の建築一式工事以外の工事:こちらも同様に、建設業許可が不要となります。
これらの条件に当てはまる工事は、「軽微な建設工事」として分類され、許可を受けなくても合法的に工事を行うことができます。しかし、これらの基準を超える場合には、許可を取得しないと違法となる可能性があるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
4. 建設業許可には有効期限がある
さて、建設業許可を取得した後も安心はできません。実はこの許可には「有効期限」があります。許可日から5年間が有効期間となっており、その期限が切れる前に更新手続きを行わなければなりません。
更新手続きを怠ると、せっかく取得した許可が失効してしまい、再び取得するには新たに申請が必要となるだけでなく、事業の継続にも大きな影響が出る可能性があります。更新の際は、許可取得時と同様に、要件を満たしているかどうかが再度確認されます。これにより、事業者が適切な運営を継続しているかどうかがチェックされるのです。
更新手続きは、有効期限が切れる30日前までに行う必要があります。期限が迫ってから慌てることのないよう、余裕を持って手続きを進めることが大切です。特に、必要な書類や証明書類の準備には時間がかかる場合もありますので、早めの行動を心がけましょう。
5. 建設業許可を取得するための要件
建設業許可を取得するためには、いくつかの厳しい要件をクリアする必要があります。ここでは、その主な要件について詳しく見ていきましょう。
5.1 経営業務の管理責任者を設置する必要がある
まず、経営業務の管理責任者を常勤で設置する必要があります。この管理者は、建設業に関する一定の経験を持つ人でなければなりません。具体的には、建設業において5年以上の管理責任者としての経験が求められます。この要件を満たす人材がいなければ、許可を取得することができません。
管理責任者は、会社の経営方針を決定し、事業の進行を管理する重要な役割を担います。そのため、経験が豊富で信頼できる人材を選任することが求められます。また、管理責任者が退職や異動などで不在となった場合は、新たな管理責任者を速やかに選任しなければなりません。不在期間が長引くと、許可の維持が難しくなることもあるため、後継者の育成も重要です。
5.2 専任技術者を設置する必要がある
次に、専任技術者を設置する必要があります。建設業務には、専門的な知識と技術が不可欠です。そのため、一定の資格や実務経験を持つ専任技術者を常勤で配置することが求められます。
専任技術者は、建設工事の見積もりや契約、施工管理などにおいて、専門的な知識を活かして業務を遂行します。この技術者の資格や経験は、許可を取得するために非常に重要な要件です。資格の例としては、一級建築士や施工管理技士などがあります。また、経験が豊富な場合は、資格を持たなくても専任技術者として認められることがあります。
専任技術者の要件は、許可を取得したい建設業の種類によって異なります。例えば、一般建設業の場合は、指定学科を修了し、一定期間の実務経験を持つ人が該当します。一方、特定建設業の場合は、さらに厳しい要件が課されます。これにより、施工に必要な高い技術力が確保されるのです。
5.3 安定した財産を保有している
建設業許可を取得するには、財産面でも一定の要件を満たす必要があります。具体的には、自己資本が500万円以上であることや、500万円以上の資金調達能力を証明できることが求められます。
財産要件は、企業の経営の安定性を示すものであり、特に特定建設業ではより厳しい基準が設定されています。特定建設業の場合、自己資本の額や流動比率、資本金の額など、複数の財務指標が確認されます。これにより、企業が長期的に安定した経営を維持できるかどうかが評価されるのです。
この要件を満たすためには、企業の財務状況を定期的にチェックし、必要に応じて資本増強や財務改善を図ることが重要です。特に、新規の許可申請を行う場合や、更新時には財務要件をクリアしているかを事前に確認しておくことが必要です。
5.4 欠格事由に当てはまらない
建設業許可を取得するには、欠格事由に該当しないことも重要な要件の一つです。欠格事由とは、許可を受けるにあたって問題となる要素を指します。具体的には、自己破産をして復権していない場合や、重大な犯罪歴がある場合、虚偽の内容を申請した場合などが該当します。
このような欠格事由に該当する場合は、たとえ他の要件を満たしていても許可を取得することができません。また、欠格事由に該当する人物が役員や従業員として所属している場合も、同様に許可が下りないことがあります。したがって、役員や従業員の経歴をしっかりと確認し、問題がないことを確かめることが重要です。
6. 建設業許可の対象となる29業種
建設業許可は、建設工事の種類ごとに取得する必要があります。建設工事は、大きく分けて「一式工事」と「専門工事」に分類されます。一式工事には「土木一式工事」と「建築一式工事」が含まれ、その他に27の専門工事があります。これらを合わせて、合計29の業種に分かれています。
例えば、「電気工事業」や「管工事業」、「造園工事業」などが専門工事として分類されます。各業種ごとに許可を取得しなければ、その業種の工事を行うことはできません。したがって、自社がどの業種に該当するかを正確に把握し、それに応じた許可を取得することが重要です。
また、複数の業種にまたがる工事を行う場合は、該当するすべての業種の許可を取得する必要があります。同時に複数の許可を申請することも可能ですので、業務の拡大を見据えて適切な許可を取得しましょう。
7. 建設業許可の手続きに必要なこと
建設業許可を取得するためには、いくつかの手続きを踏む必要があります。ここでは、その手続きについて詳しく説明します。
7.1 申請先を確認する
まず、申請先を確認することが重要です。知事許可を取得する場合は、各都道府県庁が申請先となります。一方、大臣許可を取得する場合は、国土交通省の各地方整備局へ申請を行います。申請先が異なると、手続きや提出書類も異なる場合がありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
また、都道府県ごとの申請手続きには微妙な違いがあることもありますので、申請先の行政庁に問い合わせることも大切です。これにより、手続きがスムーズに進むだけでなく、必要な書類を漏れなく準備することができます。
7.2 許可申請区分を確認する
次に、許可申請区分を確認しましょう。建設業許可には、「知事許可」か「大臣許可」か、「一般建設業」か「特定建設業」か、さらにどの工事種類に該当するかといった区分があります。これを確認した上で、適切な手続きを進めることが重要です。
申請区分を間違えると、手続きが無効になったり、再申請が必要になったりすることがあります。これにより、許可取得が遅れることにもなりかねませんので、区分の確認はしっかりと行いましょう。
7.3 許可申請書と必要書類を用意する
許可申請には、申請書と必要書類を準備する必要があります。申請書の様式や証明書類は、許可の種類や業種によって異なります。例えば、専任技術者の資格証明書や、経営業務の管理責任者の経歴書などが必要になります。
また、財産要件を証明するために、会社の決算書や銀行の残高証明書なども求められることがあります。これらの書類を事前に用意し、提出する際には不備がないように注意しましょう。必要書類を漏れなく揃えることで、スムーズな申請手続きを進めることができます。
7.4 手数料を納入する
最後に、手数料を納入することも忘れてはいけません。建設業許可の申請には、所定の手数料がかかります。この手数料は、知事許可と大臣許可、さらに一般建設業と特定建設業を同時に申請するかどうかによって金額が異なります。
例えば、知事許可を一般建設業か特定建設業のどちらか一方のみ申請する場合、手数料は9万円です。一方、大臣許可を一般建設業と特定建設業の両方同時に申請する場合は、登録免許税として30万円が必要です。このように、手数料の金額は申請内容によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
8. まとめ
今回は、建設業許可について詳しく解説しました。建設業許可は、建設業を営む上で欠かせないものであり、特に大規模な工事を受注する際には必須となります。しかし、その取得には厳しい要件が課されており、事前にしっかりと準備を行うことが求められます。
また、許可を取得することで、より大規模な工事を受注できるようになり、事業の拡大が期待できます。ただし、許可には有効期限があるため、定期的な更新手続きも忘れずに行う必要があります。
これから建設業を始める方や、許可の取得を検討している方は、この記事を参考にしていただき、スムーズに許可を取得できるよう準備を進めてくださいね。建設業許可を取得することで、より大きなビジネスチャンスをつかみ、事業を成功に導いていきましょう!
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